アレルギー性鼻炎治療のアレルゲン免疫療法

後鼻漏を直接治療するものではありませんが、後鼻漏がアレルギー性鼻炎に起因している方には役立つかもしれません。

ただし、アレルゲン免疫療法を民間での減感療法と混同しないでください。「スギ花粉を含んだ食べ物を食べるだけの減感療法で症状が改善する」というものとは違います。

民間療法に効果がないということではなく、狭い視野で1つの要素だけを見て、そこだけに注視して代替物をあてがうようなものがだめなのです。

なお、今回も「鼻アレルギー診療ガイドライン 2013年版(改訂第7版)」から引用します。

注意書き

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そのため、当サイト内で論文の引用箇所に関しましても「そういう情報がある」という程度にご覧下さい。

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アレルゲン免疫療法とは

専門的な説明もあるのですが、私では理解出来ませんので噛み砕いた方の説明文を引用します。医師が患者に説明する時の例文の模様です。

アレルゲン免疫療法とはアレルゲンの皮下注射を繰り返し行うことにより、根本的な体質改善を期待する方法です。その患者さんでアレルギーの原因となっているアレルゲンのエキス(製剤)の注射をごく少量から開始し、少しづつ増やしていき、アレルギーが起きないように体をならしていく治療法です。

上記の説明のようにアレルゲン免疫療法の考え方自体は非常に単純で、刺激に慣れさせることのようです。それだけに、もともとは100年程前から存在していた療法のようで、現在欧米では一般的な治療法のもようです。

アレルギー性鼻炎は文字通り、アレルゲン(抗原)の刺激で鼻炎を発症する症状です。生物にはいろいろな刺激に慣れてくる優れた適応性(鈍感になるともいえますが)があるため、アレルギー性鼻炎のアレルゲンに対しても同様に適応できる可能性があります。

日本と海外の違い

海外では症例も多いようですが、残念ながら日本ではまだ数がないようです。日本での現状として以下の点が挙げられています。

  • アレルゲンのエキスが少ない
  • 対象患者が不足するため、医師の経験がたまらない

治療完了者がでないのであれば医師もこのアレルゲン免疫療法に慣れることができず、医師間共有するべき情報もあまり増えません。

アレルゲン免疫療法の治療のながれ

治療の第一段階として、まず血液検査などや皮内テストで何にアレルギーがあるのか、すなわち、アレルゲンを確定します。

後はそのアレルゲンに合わせたエキスの注射を行います。効果がでるまでは以下の通りです。

はじめは週1回、少しづつ量を多く、濃度を高くしていき、適当な濃度になったら間隔をあけ、2週間に1回から最終的には月1回にして、その濃度(維持量)を続けていきます。効果が出るまでに約3ヶ月はかかります。

アレルゲン免疫療法は3ヶ月後に効果が現れはじめるようですね。つづいて、効果が現れてからです。

効果を維持するために最低2年、できれば3年以上月1回の注射を続けます。

治療開始から3ヶ月後に効果がでたとして、それはあくまで一時的なものです。薬の投与をやめると効果がなくなる段階では、治療を終えることはありません。

むしろ、ここからが長いのです。場合によっては副作用で辛い目にあるかもしれません。

なお、2-3年して中止した場合、効果は数年以上続くそうです。

アレルゲン免疫療法の有効性

アレルゲン免疫療法でどのような効果があるのかを下記に引用します。

治療効果はハウスダスト(ダニ)で80%~90%,スギ花粉でも70%前後の有効性が認められています。また3年以上治療を続けられた患者さん(有効例)では、治療終了後4~5年経過した時点での追跡調査で80~90%の効果の持続が認められています。

特にハウスダストには効果的だそうです。安全性も高いとのこと。ただ、上記の80%や90%という割合がどういう割合なのかが書かれていなかったため、どういう改善状態なのかは残念ながら不明です。

また、体質を変える治療とはいえ、どちらかといえば「耐性を高める」という類いの効果の模様でです。もちろんそれだけも非常に素晴らしいことです。

私たちアレルギー性鼻炎に悩む人間は、その時々に強い薬を飲むことで分泌物を止めていますが、それも場当たり的でその場をしのぐためのものです。あくまで「症状への対処」であり「基礎的な耐性を高める」という効果はどうがんばっても期待できませんから。

アレルゲン免疫療法の副作用

副作用については以下のように書かれています。

副作用としては注射部位の腫れが最も多く、そのほか全身の発赤、ショック症状、喘鳴などがごくまれに起こることがあります。ただし、これらの副作用は注射後15分以内に起こるため病院での適切な処置により、すべて回復するものです。また、妊娠に際しての有害事象の報告はなく、利用をつづけることが可能です。

副作用をみるとさすがに不安になりますが、病院内で処置可能なようなので、まず大丈夫かと思います。もっとも、副作用がでないわけでなく、副作用がでた際の辛さで断念される方もいるようです。

また、妊娠された方にも問題がないとことです。しかし、多少注意する点がありますので、下の項目もご覧下さい。

アレルゲン免疫療法の対象

アレルゲン免疫療法は、基本的には抗原が除去可能でないものに対して行うそうです。具体的胃は以下の通り。

食物やペット、ソバガラ枕などの抗原除去が可能な者は対象としないことがほぼ一致した意見

また、年齢等に関しても書かれています。

5歳未満では全身副反応の発生頻度が高まるため、原則として5歳以上で全身的に重篤な疾患をもたず、全身ステロイドが使用可能な患者は適応としてうおい。このことから、高血圧等でβ遮断薬を使用している患者は適応とならない。また、重傷喘息も適応にならない。

意外なことに、妊婦の方に関しては以下のように書かれています。

妊婦への影響はないが、新たに始める場合は注意を要する。

おそらく、治療開始後に妊娠された場合は特に問題がないということでしょう。妊娠中に治療を開始する場合は注意が必要とのことです。この点、女性の方はご注意を。

まとめ

アレルゲン免疫療法のまとめとしては、副作用の心配はありますが、アレルギー性鼻炎に対し効果的です。

反面、長期間の治療(注射)を余儀なくされ、最低でも3年程度は治療継続を覚悟しなければなりません。また、完治でなく耐性を高めるような効果だと認識していたほうが良いです。

もしも医師にすすめられたら、検討してみてもよいと思います。花粉症以外でハウスダストのアレルギーであり、かつ後鼻漏の方なら、鼻炎発症の低下により後鼻漏が改善する可能性が高いです。
鼻水さえとまれば不快な後鼻漏は起こりませんから。

なお、冒頭で述べた「スギ花粉を含んだ食品よる減感療法」に関しては厚生労働省から注意がだされています。くれぐれもご注意下さい。

スギ花粉を含む食品に対する注意と減感療法

補記

舌下免疫療法に関する論文を紹介していますので、興味のある方は以下のリンクよりどうぞ。

舌下免疫療法の治療法に関して(2015年の論文より)

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